空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

運命の恋/side 那知


はぁ…顔が熱い…

テラスの露天風呂から上がってお部屋に戻ると、バスローブを一枚目羽織っただけの姿で、和室に敷いてもらったお布団の上にぺたりと座る。

そこへ賢太郎さんがペットボトルのお水を持ってきてくれた。

「ありがとう。……ふはぁ…おいしい…」

お酒を飲んだ後なのもあって、半分近く飲んじゃった。

「喉乾くよな、俺にもちょうだい」って賢太郎さんに言われてお水を渡すと、「サンキュ」とゴクゴク喉に流し入れていた。


……何で賢太郎さんにはこんなに惹き付けられるんだろう……


尚人や他の人には感じたことのないドキドキが、痛いくらいに胸を叩く。

私が知る中で、誰よりもカッコいいから…なのかな…

でも…それだけじゃない様な気もするんだよね…



「…那知、どうした?俺、顔に穴が空きそうなんだけど。…クッ」


その言葉に、ハッと我に返った。

「あっ、ごめんなさい…また見惚れちゃってた…」


すると、私の言葉に賢太郎さんが大人の男の色気を乗せて、フッと笑った。

「…もう…那知はほんとに…」

「何?」



「俺を狂わせる」



「?……ひゃっ」

次の瞬間私は、ぽすん、と身体を布団に倒された。

そして仰向けになると、賢太郎さんが私の手に指を絡め、シーツに縫い止めた。


「那知、好きだ。俺だけの那知になってくれ」

そのまっすぐな言葉と真剣な眼差しを受けて、胸がドッキン!と強く音を立てた。

それから…じわじわと嬉しさが身体中に浸透していくと、私はまだ自分の気持ちを賢太郎さんに伝えていないことに気付いた。

だから…


「うん…私も賢太郎さんが好き」

まっすぐに目を見て正直に答えた。

すると賢太郎さんが嬉しそうに、はぁっ…ておっきく息を吐いた。

「後から、やっぱりヤダとか言うなよ?…もう…離せないから」

私を見るその瞳の、優しさの中に男の熱情が見えて、ドキドキが一段と激しくなる。


「…ヤダなんて言わない…私も賢太郎さんと離れたくない」

それは本当に心から思ってる。

結婚とかそういった現実的な事は今はどうでもよくて…
ただただ私の心が、賢太郎さんに愛されたい、ずっと一緒にいたいと叫んでる。


賢太郎さんとは今日初めて会ったのに、なぜか最初から親近感というか懐かしさに似た気持ちさえあって、お話しするのがとても嬉しくて気持ち良くて楽しくて。

だから、その気持ちも伝えたいな。

って思ってたら…唇が塞がれた。

すぐさま賢太郎さんの熱い舌が私の舌を捉え、濃厚に絡まり合う。



「俺は那知を絶対に離さないからな」

それが結婚を意味するのかはわからないけど…

…2年の付き合いの末に簡単に捨てられた私には、私をつかまえてくれる、その言葉だけで充分幸せ…


私はまだ賢太郎さんがどこの誰なのかわからない。

何でこんなに素敵な人が、平凡な私を好きになってくれたのかもわからない。


もしかしたら…
…騙されているのかもしれない…



…それでもいい。

私は賢太郎さんに、恋をしたの。

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