空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
いつも通りの総務部長の進行で始まった朝礼だったのだが、久しぶりに常磐社長が姿を見せた。

そして簡単な挨拶のあと、諸事情により昨日付で退職していると語った。
更に、最近不在がちだったのは、新社長と新副社長との引継ぎのためだった、とも。

TOKIWAの創業者の息子さんである常磐社長は、若手にも優しくて理解のある人だったから、辞められたのは私も残念に思う。

じゃあその新しい社長と副社長って誰なんだろう、と考えてたところに、ちょうど社長の言葉が重なった。

「…そして今日からお越し頂く新社長と新副社長は、正式に社長と副社長が決まるまでの間の代理となっていまして、TOKIWAの親会社である十和田ホールディングスからの出向という形でお願いしています」

あぁ!
それが霧ちゃんの旦那さんとお兄さん、てことなんだ!

霧ちゃんと顔を見合わせ「なるほど」「うん、うん」と2人で納得していると、常磐社長がオフィスのドアを開け、男性を招き入れた。

でも1人だけ。

ちょっと遠目だけど、あれは龍綺さんみたい。
霧ちゃんも「あれ?兄貴がいない」って言ってるし。


キリリとしたイケメンに女性陣が黄色い声をあげる中、龍綺さんが苦笑しながら言う。

「すみません、新社長は電話で席を外してるので、私が先に挨拶します」

と、そのまま龍綺さんが話し出した。


じゃあ、新社長はお兄さんなんだ。
霧ちゃんのお兄さんかぁ…どんな人なんだろう。

仕事人間で愛想がないって言ってたよね。
じゃあ…インテリタイプのイケメンさんかな?
おしゃれな七三分けで、シルバーフレームのスタイリッシュな眼鏡が似合ってて、霧ちゃんみたいにクールな感じの人、とか?

なんて勝手にイメージを膨らませていると「遅れてすみません」と、一人の男性がオフィスに入ってきた。

あっ、あの人が霧ちゃんのお兄さんかな。
どれどれ…
眼鏡はかけてないけど、やっぱり背が高くてイケメンさ……


  ん?

  ・
  ・
  ・
  ・

  え?


  え??



あれって……


け……っ、賢太郎さん !?!?


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