空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
その後、各部署からの業務連絡も終わり、総務部長の解散の号令が出るかと思ったその時。
「失礼。最後にもう一点」
と賢太郎さんが軽く手を挙げながら言うと、皆がザッと一斉に注目した。
わ……もう皆を引き付けてる。
賢太郎さんて、すごいな…
この朝礼の、挨拶程度の僅かな時間だけでもそれがよく分かった。
あっ!
じゃあ私なんかが結婚相手だなんてバレたら大変!秘密にしておかなきゃ!
…ていうか、本当に私でいいのかな…
もしかしたら賢太郎さん…旅先での勢いとか非日常の雰囲気とかその場の流れみたいな感じで、結婚!って思っちゃってない!?
日常に戻ってみたら、やっぱつまらない女、って思うんじゃ!?
…そうなったら…やだな…
なんて悲観していると、賢太郎さんの「キリ、前へ」という声が聞こえた。
すると霧ちゃんが「あー、やっぱ呼ばれた」って私にこそっと言うと、スタスタと賢太郎さん達のいる前へ向かった。
ん?何だろう。
「いずれ分かることなので先に言っておく。この2人、副社長代理の相馬龍綺とデザイン課の相馬霧子は夫婦であり、相馬霧子は私の実の妹だ。なので社内では下の名前で呼ばせてもらう。…こちらでは特に呼び名の規定はないそうだが、まぁこういった関係性であるということはご承知おき頂きたい」
あぁ、なるほど。
3人が仲良く名前で呼んでたら何かと勘違いされがちだもんね、それは最初に言っておく方がいいよね。
それにしても、やっぱりカッコいいなぁ…ドキドキしちゃう。ふふっ
なんてまた見惚れていたら、賢太郎さんとパチッと目があっちゃった。
あわわ。
すると賢太郎さんの目がフッと柔らかくなって…私の知る優しい笑顔で言った。
「那知もおいで」
へ?
… 今、私を呼んだ !?
「ほら、だから那知もおいで」
「那知も紹介されときなって、ニシシ」
今度は兄妹で言うと、皆が一斉にこちらを振り向いた。
これは…行かないとだよね。
「東雲さん?」「何、どういうこと?」とザワつく人々の間を、腰を屈めて手刀を切りながら前に進んだ。
賢太郎さんに「隣においで」と言われ、ギクシャクしながらそこまで行くと、私の腰に腕を回し、皆さんの前でハッキリと言った。
「これもいずれ分かることなので言っておくが、こちらのデザイン課の東雲那知さんは私の婚約者で、私達は近く結婚する」
…しん…と静まり返ったのも束の間、すぐに「キャー!」だの「えぇー!?」だの、今日一番のどよめきが起こった。
「け…賢太郎さん…言っちゃっていいの?」
「俺達の結婚だってもうすぐなんだから周知するなら早い方がいい。那知に手を出そうとする男を牽制する意味でもな」
と、腰にあった手を頭にポンと乗せた。
そこには、先ほどまでの厳しい顔とは違う、週末に見ていた私の知る賢太郎さんの優しい表情があった。
「ふふ、牽制なんて必要ないけど…ありがとう」
「アハハ、兄貴それ、男どもに対する牽制なんだ」
「フ、それが第一の理由だな」
そんなやり取りをしていると、少しずつ「おめでとうございます」とか「東雲さんも隅に置けないわね~」「やるぅ!」「結婚式はいつなんですか~?」なんて声があがり、お祝いの様な雰囲気に包まれ始めたのだが、一際目立つ声がその空気をつんざいた。
「失礼。最後にもう一点」
と賢太郎さんが軽く手を挙げながら言うと、皆がザッと一斉に注目した。
わ……もう皆を引き付けてる。
賢太郎さんて、すごいな…
この朝礼の、挨拶程度の僅かな時間だけでもそれがよく分かった。
あっ!
じゃあ私なんかが結婚相手だなんてバレたら大変!秘密にしておかなきゃ!
…ていうか、本当に私でいいのかな…
もしかしたら賢太郎さん…旅先での勢いとか非日常の雰囲気とかその場の流れみたいな感じで、結婚!って思っちゃってない!?
日常に戻ってみたら、やっぱつまらない女、って思うんじゃ!?
…そうなったら…やだな…
なんて悲観していると、賢太郎さんの「キリ、前へ」という声が聞こえた。
すると霧ちゃんが「あー、やっぱ呼ばれた」って私にこそっと言うと、スタスタと賢太郎さん達のいる前へ向かった。
ん?何だろう。
「いずれ分かることなので先に言っておく。この2人、副社長代理の相馬龍綺とデザイン課の相馬霧子は夫婦であり、相馬霧子は私の実の妹だ。なので社内では下の名前で呼ばせてもらう。…こちらでは特に呼び名の規定はないそうだが、まぁこういった関係性であるということはご承知おき頂きたい」
あぁ、なるほど。
3人が仲良く名前で呼んでたら何かと勘違いされがちだもんね、それは最初に言っておく方がいいよね。
それにしても、やっぱりカッコいいなぁ…ドキドキしちゃう。ふふっ
なんてまた見惚れていたら、賢太郎さんとパチッと目があっちゃった。
あわわ。
すると賢太郎さんの目がフッと柔らかくなって…私の知る優しい笑顔で言った。
「那知もおいで」
へ?
… 今、私を呼んだ !?
「ほら、だから那知もおいで」
「那知も紹介されときなって、ニシシ」
今度は兄妹で言うと、皆が一斉にこちらを振り向いた。
これは…行かないとだよね。
「東雲さん?」「何、どういうこと?」とザワつく人々の間を、腰を屈めて手刀を切りながら前に進んだ。
賢太郎さんに「隣においで」と言われ、ギクシャクしながらそこまで行くと、私の腰に腕を回し、皆さんの前でハッキリと言った。
「これもいずれ分かることなので言っておくが、こちらのデザイン課の東雲那知さんは私の婚約者で、私達は近く結婚する」
…しん…と静まり返ったのも束の間、すぐに「キャー!」だの「えぇー!?」だの、今日一番のどよめきが起こった。
「け…賢太郎さん…言っちゃっていいの?」
「俺達の結婚だってもうすぐなんだから周知するなら早い方がいい。那知に手を出そうとする男を牽制する意味でもな」
と、腰にあった手を頭にポンと乗せた。
そこには、先ほどまでの厳しい顔とは違う、週末に見ていた私の知る賢太郎さんの優しい表情があった。
「ふふ、牽制なんて必要ないけど…ありがとう」
「アハハ、兄貴それ、男どもに対する牽制なんだ」
「フ、それが第一の理由だな」
そんなやり取りをしていると、少しずつ「おめでとうございます」とか「東雲さんも隅に置けないわね~」「やるぅ!」「結婚式はいつなんですか~?」なんて声があがり、お祝いの様な雰囲気に包まれ始めたのだが、一際目立つ声がその空気をつんざいた。