空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
そして、ハッとその旅行が間近に迫ってる事に気が付いた。


「り…旅行は?あさってなんだよ?…予約した旅館とか…どうするの?」

旅行は土曜日、そして今日は…木曜日。


いや、本当はこんなことを言いたいんじゃない。
ちゃんと理由を聞いて、責めたりしたいはずなのに、それらの言葉は出てこなくて。

旅行の話を出したところで尚人が戻ってくるなんて思ってない。
それでも何とか話を繋ごうとする自分が情けないけど…どうしようもなくて…


「本当に申し訳ないけど…今回のは那知の行きたいところだし、那知に予約してもらってるから…一人で行ってもいいし、友達と行ってもいいし、僕の分はキャンセルするなり、那知のいい様にしていいよ」


「…キャンセルって簡単に言うけど…もう2日前なんだからキャンセル料だってかかるんだよ?」

「…どれくらいだっけ」

私は黙ったまま、ネットで予約した内容をパソコンの画面で尚人に見せた。
この画面は予約した後すぐに印刷し、尚人にも渡してあるのだけど。


画面に出ているキャンセル料についての文言を見て尚人が言う。

「前日…明日だと50%…そんなにかかるのか…ごめん、キャンセル料までよく見てなかった。…じゃあ今回の宿泊代は僕が全部払う。…余った分は少ないけど急な別れ話のお詫びとして受け取ってほしい」

そう言うと「すぐ戻るから」と、尚人は財布だけ持って部屋を出ていった。
< 5 / 189 >

この作品をシェア

pagetop