空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

一歩ずつ前へ/side賢太郎


那知とレストランでの夕飯を終え、今後の話し合いをしようと那知を俺のマンションへ連れてきた。



「ちょっと散らかってるけど」

「おじゃまします……ふふ、なんか緊張するなぁ」

「明日から毎日おいで。いや、もう今日からここに住めばいいよ」

なんて話しながらリビングの照明をつけると、我ながらあまりの部屋の汚さに驚いた。

「よく見たらちょっとどころじゃなかったな…ごめん」


帰国前に送っておいた荷物が全然片付かなくて、中途半端に開封した段ボール箱がリビングに雑多に置かれたままだった。

しかも、段ボールからシャツや下着が飛び出しているものまで…

「うわ!」と焦りながらそれらを箱に詰め、ザッと壁に寄せる。

ヤバい、『整理整頓ができない大人』と思われないだろうか…


「そうだよね、賢太郎さんは帰国されたばかりなんだよね…」

「あぁ、だからまだ置場所すら決まらなくてさ、ハハハ…」

ってほんとに苦しい言い訳だな。
あー…那知に呆れられたくないな…って心配していたんだが…

「そうだよね……それなのに私、旅館からの運転も、今日だって…賢太郎さんはお疲れなのに色々と甘えてしまって…」

と那知が、しゅん…と目線を下げた。

あぁ…那知はそういう子だもんな。


「全部俺がしたいんだよ。俺が那知と一緒にいたいから。……こんなだらしない男で悪いけど」

優しく抱き締めて言うと、腕の中から俺を見上げた。

「ありがと…賢太郎さん。ふふ、だらしなくなんてないよ」


あー…俺の身体にすっぽりと覆われる那知がちっちゃくてマジで可愛い。


あー…ヤバいな……キスしたい……
でも……これからの話をしないと……


…やっぱ…キスしたい……
でも……これからの話をしないと……


キスしたい……
でも……


んー……


俺はこんなにも欲に弱い男だったか?
いや、那知だからだな……


「…賢太郎さん?どうしたの?変な顔して」

「いや、何でもないよ」

「あっそうだよね、お疲れだよね……じゃあ今日はもう帰ろうかな」


「えっ!? 帰る!? 何で!」

「え……だって賢太郎さん、早くおやすみしないとだし…」


ちょ…ちょっと待てって!

「ヤダって、まだ帰らないで!」

と…素直な気持ちのまま、力強く抱き締めた。

ぎゅうぅ…


あー……すげぇ優しい匂い…
抱き締めてるとすごく安心する…

俺が抱き締めてんのに、抱き締められてるみてぇな安心感…

すごく心地いいな…


…あー…マジ心地いい…



「…賢太郎さん…?」



ハッ…

ああっ、しまった!
「ごめん!年甲斐もなく子供みたいに甘えて…」

恥ずかしさと情けなさで顔を逸らしてそう言うと、那知が俺の身体をきゅっと抱き締めてくれた。

「ありがとう。ふふ、賢太郎さんが甘えてくれるの、嬉しい」

嬉しい?
「…ほんとに?なんで?」

「だって、それだけ信頼して…心を委ねてくれてるんでしょ?」

「あぁ、俺は那知にはココロ全開だ。…でも甘える様な弱い男は嫌じゃないのか?」

「んー……自分に甘いのと、自分の弱さを人に見せるのは違うかな」

「そっか。じゃあ俺…那知に甘えてもいいか…?」

「ふふっ、うんと甘えて?…私もココロ全開で受け止めるし、私も賢太郎さんに甘えるから」

「…ありがとな。じゃあ…甘えたついでに言っちゃうけど……キスしたい」

「え?うん、いいよ」

「ん…たださ、今キスしたらキスだけで止められる自信がなくて……だからすごく葛藤してんだよ、さっきから」


そう正直に言ったら那知が赤い顔で目を丸くするからさ…

「あーもう、那知が可愛くてだめだ!キスする!……俺、止めらんないからな」

って言ったら一瞬にしてグッとオンナの顔になって…目をとじた。

それは、抱いていい…って那知の返事だよな…

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