空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
少しして戻ってきた尚人から「これ、受け取って」と、銀行名が印字された封筒を差し出された。

この時間だから、コンビニのATMで下ろしてきたんだろう…

震える手で受け取ると、思った以上に厚みがあって驚いた。

「一応、中、確認してみてくれる?」

そう言われて、封筒から出した1万円札を数えると、宿泊代にしてはやはり多すぎる。


「こんなにもらえない。…私の分はいらないし…尚人のキャンセル料だけでいい」

お金で解決させられてるみたいで…悲しくて……余分な分は突き返した。

でも、尚人は受け取らなかった。


「本当に出来損ないだった僕をここまで支えてきてくれた那知には心から感謝しているし、本当に申し訳ないと思ってる」

「………」

「…でも僕は本当に愛すべき人を見つけてしまったんだ。…今でも那知のことは本当にしっかりしていて素晴らしい女性だと思ってるよ。…でも…彼女は…僕が本当に困った時にそばにいてくれたし、僕を必要としてくれた。僕は…彼女を守りたいと思う。大丈夫、那知ほどしっかりした女性なら、次の男もすぐに見つかるだろうし、それまでだって1人でもやっていけるよ」

「………」

「きっと那知もそういう運命の人が現れたら分かると思う。恋は理屈じゃないと……落ちるものだとね…」

「………」

「那知の辛い気持ちもわかるつもりだよ。…だから…明日は会社を休んで、土曜日にゆっくり旅行に行くといいよ。そして月曜からまた一緒に仕事を頑張ろう。那知は仕事でもいいパートナーだから……これからもよろしくな」


そして、テーブルに私の部屋の合鍵を置いて「本当にごめん…今までありがとう。じゃあ…月曜に」と、静かに出ていった。
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