空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~

「そんな……」

あのふんわりとした雰囲気の那知に、それほどの辛い過去があったなんて…


「でもな、病気というのも全く関係がない訳ではないんだ」

「えっ?」


「実はさ、父さんは病気が見つかってたんだよ」

「…え……」


「…それがちょっとやっかいなヤツで、治療も面倒なものらしくてな。…それで、これが最後の家族旅行になるかもしれない…てことで職場にも事情を話して両親揃って休暇をもらってさ、一週間滞在の旅行に行ったんだ。……その帰りの事故なんだよ」


「!……それって……まさか」

「あぁ。ケンと出逢った、あの滞在から帰る途中だった」


「…う…嘘だろ……」


まさかそんなことになっていたなんて…
何も知らなかった自分が悔しくて…情けない…



「それでな……俺…ケンに謝らないといけない事があるんだ」

「…謝る?……そんなことありましたか?」

「ケン……あの時、那知に連絡先を渡しただろ?」

「あぁ…はい。確か、俺の携帯の電話番号と、当時住んでたアメリカの住所を書いて渡しましたけど…」


滞在時、那知が「お手紙書いてもいい?」って聞いてきたから渡したんだ。
俺も那知と繋がってたくて。


「あれ……俺が持ってるんだ……」

「えっ?…あぁ、そうなんですね。…それは俺が〝ロリコン悪魔〞だからですか?」


「いや、そうじゃないんだ。…あの時…ケンの連絡先を手にして部屋に戻ってきた那知がな、すごく嬉しそうってか…幸せそうだったんだよ。…ケンが先に帰った後は寂しそうにしてたけど、帰ったらすぐに手紙書く!って意気込んでてさ。…俺、妹を取られた悔しさはあったけど、那知がそれほどケンを慕うのなら応援してやろうと思ってた」

「…そうですか、それはありがとうございます」



「だがな……あの事故があって……那知はあの旅行の事も忘れてしまったんだ…」


えっ…

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