空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
俺の過去と、大事な想い出/side賢太郎
──俺は、物心ついた頃から『お前は十和田家の跡取りだから』と言われ続けてきた。
だから小学生の時も、同級生が「将来はサッカー選手!」「新幹線の運転手になりたい」と言う中で「僕はおじいちゃんとお父さんの跡を継ぐ!」と当たり前の様に言っていた。
…親父達が何の仕事をしてるのかも分からずにな。
中学までは北陸の地元の公立に通っていたが、高校は親父のいる東京に移され、名門と言われている私立の男子校で過ごした。
勉強はさせられている感が拭えなかったが嫌いなわけではなく、仲間と切磋琢磨しながら常に上位をキープした。
その仲間は、まさに類友。
医者や代議士、弁護士などの息子で、勉強ができ、ルックスにも自信がある奴ばかりが自然と集まった。
金は言えばある程度貰えてたし、親父譲りの容姿で、女はこちらから誘わなくても絶え間なく寄って来ていた。
俺達はみんな特定の彼女を作らず、トラブルにならない範囲で、それぞれが上手く遊んでいた。
そして、高校卒業後はアメリカの大学へ。
もちろん、これも俺が行きたくて選んだ道ではない。
「世界を見てこい」と、親父が敷いたレールだ。
さすがに海外の大学ということもあり、高校までのやり方では全く通用せず、勉強の仕方も意識の持ち方も全然違う事に最初は戸惑ったが、様々な国から集まった仲間と共に学び合った。
ここでもそれなりに女は寄ってきていて、それこそ様々な国の女と関係を持ってみたが、俺はやっぱ日本人がいいとの結論に至った。
そう。
勉強漬けな訳ではなく遊びも自由に楽しんでいるし、将来だってほぼ決まってる様なものだから、まさに順風満帆な人生。
の、はずなのに…
ふと、満たされていない自分がいることに気付いたんだ。
〝俺はこのままでいいのか〞
〝俺は親の操り人形なのか〞
そう考え出してしまうと…
自分の生き方に、自信が持てなくなっていった。
…そんな大学時代に、こんな俺の人生を変える出逢いがあった。