空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
翌日の昼間、俺の部屋に来た那知が「ケンちゃん、お皿って借りられるかな?」と聞いてきた。
「どうした?何に使うの?」と聞くと、お菓子を家族で取り分けるという。
そこで俺はA4サイズの封筒を差し出した。
「これ使えるかな、よかったらあげるよ」
那知はそれを素直に手に取ると「なぁに?」と中を覗いて取り出した。
「……紙?……わぁ!きれいな和紙だね!」
と、何枚もある色とりどりの紙をキラキラした目で見ている。
ほんと、素直で可愛い。
「それね、懐紙(かいし)って言うんだよ」
「懐紙……あっ、お茶の席で使うのだよね」
「そう、それ。よく知ってるね」
「この前お母さんと茶会を見に行ったの。…でも懐紙って白いよね?」
「あぁ、いろんなのがあるみたいだよ、俺も詳しくは知らないけど。それは昨日、ここで働いてる姉貴からもらったんだ、イベントで余ったからって」
「…これ、本当にもらっていいの?」
「うん。俺は使い道なかったからさ」
「ありがとう!じゃあケンちゃんも一緒に食べよ!お部屋に来て!」
と俺は手を引っ張られながら、那知の家族の待つ部屋に一緒に入った。
「ケンちゃんから懐紙もらったの!すごくきれいなんだよ!お菓子、これに乗せよう?」
「すいません、図々しく来ちゃいました」
「なぁに、那知のことだ、きっと連れてくると思って待ってたよ。…どれ那知、見せてごらん」
テーブルに広げられた懐紙は、全て違う色のもので7枚あった。
「どう見ても余り物ですよね」
なんて、俺は苦笑い。
でも那知はそれを「全部違うから選ぶのが楽しいね!わぁ…どれもきれいで迷っちゃう!」とはしゃいでくれた。
そして、みんなで「せーの!」で指をさすと、ものの見事に全員が別々のものを選んでいた。
「あれ、那知は黄色じゃないのか。いつもなら黄色だよな?」
「うん、今はピンクの気分だったから。黄色も良かったけど、ピンクの小花柄がかわいくて。ゆうちゃんはやっぱりグリーンだね!」
「まぁな、俺のラッキーカラーだし、脇の四つ葉のクローバー柄が更にラッキーを引き寄せそうだよな」
「あれ?お父さん、オレンジが好きなの?意外~!あっ、お母さんは薄紫にすると思ったんだ。色もそうだけど、きれいなお花が描いてあるし、お母さんの好みのど真ん中だよね!」
「なぁんだ、那知が黄色を取るかと思って、お父さん、遠慮してオレンジにしたんだけどなぁ」
「そうなんだ。ありがとう!じゃあ黄色に替えてもいいよ!あっ、ケンちゃんはブルーなんだね」
「はは、似合わない?」
「ううん。この薄いブルーって、空色って言うんだよね。この色は優しいからケンちゃんにすごく似合ってる!縁のマーブル柄もきれいで便箋みたいだね、私も好きだよ」
…そう俺の目を見て言った「私も好きだよ」の言葉にきゅうっと胸が甘く締め付けられた。
もちろん、それが懐紙の事だとは分かってはいた。
けど…
俺は自分に向けられた言葉と…思いたかった。
「よーし、じゃあお菓子を分けるか。おっ、個包装だから紙も汚れなくていいな。取っておいて別の機会にまた使うか。あぁ、ラミネート加工してランチョンマットでもいいな」
「お父さん、ランチョンマットだと小さすぎてお皿がはみ出しちゃうよ、あはは!でも、それいいね。マイカラーのお皿みたい!」
ただ懐紙をどれにするか決めるだけで、こんなに和気あいあいと楽しめるなんて…
本当に幸せな家族だよな。
将来…
那知ちゃんが俺のお嫁さんになって…
俺もこの家族の一員になって…
みんなで幸せになりたいな…
とか本気で思ってた。
「どうした?何に使うの?」と聞くと、お菓子を家族で取り分けるという。
そこで俺はA4サイズの封筒を差し出した。
「これ使えるかな、よかったらあげるよ」
那知はそれを素直に手に取ると「なぁに?」と中を覗いて取り出した。
「……紙?……わぁ!きれいな和紙だね!」
と、何枚もある色とりどりの紙をキラキラした目で見ている。
ほんと、素直で可愛い。
「それね、懐紙(かいし)って言うんだよ」
「懐紙……あっ、お茶の席で使うのだよね」
「そう、それ。よく知ってるね」
「この前お母さんと茶会を見に行ったの。…でも懐紙って白いよね?」
「あぁ、いろんなのがあるみたいだよ、俺も詳しくは知らないけど。それは昨日、ここで働いてる姉貴からもらったんだ、イベントで余ったからって」
「…これ、本当にもらっていいの?」
「うん。俺は使い道なかったからさ」
「ありがとう!じゃあケンちゃんも一緒に食べよ!お部屋に来て!」
と俺は手を引っ張られながら、那知の家族の待つ部屋に一緒に入った。
「ケンちゃんから懐紙もらったの!すごくきれいなんだよ!お菓子、これに乗せよう?」
「すいません、図々しく来ちゃいました」
「なぁに、那知のことだ、きっと連れてくると思って待ってたよ。…どれ那知、見せてごらん」
テーブルに広げられた懐紙は、全て違う色のもので7枚あった。
「どう見ても余り物ですよね」
なんて、俺は苦笑い。
でも那知はそれを「全部違うから選ぶのが楽しいね!わぁ…どれもきれいで迷っちゃう!」とはしゃいでくれた。
そして、みんなで「せーの!」で指をさすと、ものの見事に全員が別々のものを選んでいた。
「あれ、那知は黄色じゃないのか。いつもなら黄色だよな?」
「うん、今はピンクの気分だったから。黄色も良かったけど、ピンクの小花柄がかわいくて。ゆうちゃんはやっぱりグリーンだね!」
「まぁな、俺のラッキーカラーだし、脇の四つ葉のクローバー柄が更にラッキーを引き寄せそうだよな」
「あれ?お父さん、オレンジが好きなの?意外~!あっ、お母さんは薄紫にすると思ったんだ。色もそうだけど、きれいなお花が描いてあるし、お母さんの好みのど真ん中だよね!」
「なぁんだ、那知が黄色を取るかと思って、お父さん、遠慮してオレンジにしたんだけどなぁ」
「そうなんだ。ありがとう!じゃあ黄色に替えてもいいよ!あっ、ケンちゃんはブルーなんだね」
「はは、似合わない?」
「ううん。この薄いブルーって、空色って言うんだよね。この色は優しいからケンちゃんにすごく似合ってる!縁のマーブル柄もきれいで便箋みたいだね、私も好きだよ」
…そう俺の目を見て言った「私も好きだよ」の言葉にきゅうっと胸が甘く締め付けられた。
もちろん、それが懐紙の事だとは分かってはいた。
けど…
俺は自分に向けられた言葉と…思いたかった。
「よーし、じゃあお菓子を分けるか。おっ、個包装だから紙も汚れなくていいな。取っておいて別の機会にまた使うか。あぁ、ラミネート加工してランチョンマットでもいいな」
「お父さん、ランチョンマットだと小さすぎてお皿がはみ出しちゃうよ、あはは!でも、それいいね。マイカラーのお皿みたい!」
ただ懐紙をどれにするか決めるだけで、こんなに和気あいあいと楽しめるなんて…
本当に幸せな家族だよな。
将来…
那知ちゃんが俺のお嫁さんになって…
俺もこの家族の一員になって…
みんなで幸せになりたいな…
とか本気で思ってた。