空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
その夜、庭で那知と勇貴さんと遊んでたら将来の話になったんだ。

勇貴さんは「建築関係のデザインがしたい。ゆくゆくは建築事務所を営む両親の跡を継ぐんだ」と言い、那知は「家具とかのデザインの仕事がしたい」と言っていた。

俺は「親の跡を継ぐ予定」と答え、そしてこれも付け足した。

「俺が本気で親の跡を継ぐ決心をしたら、那知ちゃんをお嫁にくれるって、那知ちゃんのお父さんに言われたよ」

すると那知が驚きつつ言ったんだ。

「ほんと!?じゃあ…私もデザインのお仕事ができたら、ケンちゃんのお嫁さんになる!約束だよ!」
って。

素直に嬉しく思ってたら。

「ああぁ!那知!そんなことまだ決めなくたっていいだろぉ!?まだまだずーっと先の話なんだから!」

と、すかさず勇貴さんが止めてたっけ。ははっ



でも…ほんとに那知ちゃんとなら幸せな家庭を築けそうだよな。
優しいし、外見も可愛いし、俺に染めたくなるほど純粋だし。
子どもができたら絶対に可愛い子に違いないよな。

…なんてハタチの俺は夢を描いてみた。

絶対に高校時代の仲間には言えないよな、中学生相手にマジになるとかさ。



でも…

そうだよな…那知ちゃんはまだ中学生だ。

これからたくさんの出逢いが待っているのだから…
きっと俺のことも、約束も…
忘れてしまうだろうな…


いくら俺が願ったところで…

それが現実だ。


…そう自分に言い聞かせた。



本心では〝これっきりにしたくない〞と…強く思いながら……

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