空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
翌日の午後、姉貴から呼ばれて離れの部屋を出た。
「海外のお客さんが来たから通訳してくれ」って頼まれて。
本館の方の仕事が忙しく、ちょうど英語が話せるスタッフがいなかったそうだ。
まぁ暇だし、とフロントに行くと客は一人旅の若いアメリカ人女性だった。
客室係の通訳をしながら部屋まで案内して帰ってきたんだけど、夕方、その客と離れの庭の近くで出くわした。
〝日本人に会ったら聞きたいことリスト〞を持ち歩く彼女に、日本についての様々な事を尋ねられ、分かる範囲で答えていた。
たまに『1人なら私の部屋に来ない?』とか『夜の温泉街を一緒に見て回らない?』などの誘いもあったが、それはハッキリ断りつつ。
そろそろ戻ろうと思い「Enjoy your stay in Japan」と告げると「ケンタロー、アリガト!」とハグされ、頬にキスされたから、俺も軽めにハグを返した。
キスはさすがに唇では触れたくなくて、頬を軽く合わせるチークキスに留めた。
こういうのはアメリカでたまに距離感の近い人にもされてることだし、と、特に気にもかけていなかった。