空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
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「じゃあ…那知には…昔、俺と会ったことは言わない方がいいですよね」

「……そうだな……ケンには申し訳ないが…」

「いえ、俺はかまいません。那知にとってその方がいいのなら。……でも……もし俺と一緒にいて思い出したら……いや、それより……俺はこのまま那知といていいんでしょうか…」

俺は那知と一緒にいてはいけないんじゃないかと……一瞬、目の前が暗くなった。


「ケン。昔の那知は昔のケンに、今の那知は今のケンに惚れたんだ。それでいいと俺は思うよ」

「勇貴さん…」

「ただな……俺には、那知は記憶が消えたというよりも、記憶に蓋をしただけの状態なんじゃないかと思えてな……だから、もしかしたら今後、何かのきっかけで思い出す可能性はある…と思ってる」

「………」

「ま、その時はそういう運命なんだと思うさ。だからケン、その時は那知を支えてくれな。俺は、那知を救えるのはいつだってお前しかいないと思ってるから。な、ケン」


勇貴さんにそう言われて、〝俺がしっかりしないでどうする!〞と自分を奮い立たせた。

「はい!何があっても俺が那知を支えます!」


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勇貴さんと、そう約束したから…



手紙と…あの時の俺達の約束は…


俺だけの宝物にしておくよ。



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