空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
シングルルームのお部屋に入り、促されてベッドに座ると涙が溢れた。

「ごめんなさい……こんな大事な時なのにしっかりできなくて…こんな弱い女じゃ絶対に認めてもらえないね…」

こんな弱音を吐いて賢太郎さんはどう思うだろうか…という不安はあったけど……俯きながら本音をもらした。


すると、横に座る賢太郎さんに優しく抱き締められた。

「俺の方こそごめん…那知にとっては親会社の社長でもあるもんな…」

「…ん…」

「…親父を無視して入籍することはできる。けど…俺は那知の素晴らしさを知ってもらえれば、絶対に認めてもらえると思ってる」

「ん…ありがとう…」

「でも……ここまで具合を悪くさせるくらいなら、まだ会うのはやめておこう。今日はここで少し休ませてもらってから帰ろう。な?……俺、那知に無理させたくねぇよ………ごめん……もっと早くに気付けてればこんな辛い思いをさせなかったのに……ほんとごめん…那知の気持ちに考えが及ばなくて……頼りない男で…ほんとごめん……」

…抱き締める腕に少し力が入るのがわかった。

そこまで私のことを考えてくれてるんだね……賢太郎さん…


さっきまでとは違う涙が頬を伝う。

「ありがとう、賢太郎さん……私も想いは一緒だよ。…私もきちんと認めて欲しいから、ちゃんと会うよ」

「……無理するな…心配だ…」

「…大丈夫。賢太郎さんがこんなにも私を大事にしてくれてることが嬉しかったし……こうして賢太郎さんに抱き締められていると安心できて……落ち着いてきたの」

本当だよ。
あんなに落ち着かなかった心臓がだんだんとゆったりしてきたんだよ。

それはきっと、賢太郎さんが私の気持ちに寄り添ってくれているからだね。


そっと身体が離されると、賢太郎さんが私の顔をまっすぐに見た。

「ほんとだ、顔色がさっきよりもだいぶ良くなってるな。…ありがとう、那知。俺、本当に心から那知を愛してるよ。…クサいセリフかもしれないけど、那知は俺の全てだから」

賢太郎さんが少し照れて言う。


「…ふふ、ふふふふっ」

その言葉がとっても嬉しくて……ううん、嬉しすぎて、何だか心がくすぐったい。


「っだからクサくても笑うなって!」
照れてる賢太郎さんに、頭をぎゅうって抱き締められた。


「ふふっ、嬉しすぎるんだってば……もぉ…大好き!あははっ」

すると、つい笑っちゃった私の顔を覗き込まれた。

「どんな那知も可愛いけど、笑ってる那知はやっぱすげぇ可愛い」

賢太郎さんが優しく笑ってくれたから…その笑顔につられて、やっと私も自然と柔らかい笑顔になれた。

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