空色の手紙は執着愛の証 ~溺愛は再会とともに~
「良美です。失礼いたします」


あ、良美さんだ!

数少ない見知った人に会える!と、ほっとしながらドアの方を見ると、良美さんの他に女性が1人、入ってこられた。
清楚な感じの美人な方…年上だと思うけど、どなただろう…


そして私達の脇に立つと、良美さんが話してくれた。

「那知ちゃん、ご挨拶が遅れてごめんなさいね。賢太郎の姉を連れてきたわ」

お姉さん…
あ!そういえばまだお会いしてなかった!

私は勢いよくソファから腰を上げた。

「はっ初めまして。東雲 那知と申します。こちらこそご挨拶に伺いもせず申し訳ございません」

頭を下げると、大きな手のひらが頭を優しく撫でた。

「那知、ごめん。那知は何も悪くないからな。姉貴、俺が親父の後でいいって言ったんだよ」

上からそう聞こえて、ブンッと勢いよく頭を上げた。
「ううんっ、私が言い出さなかったから」
と両手を振り、慌てて弁解する。


「な?良美さんから聞いてるだろうけど、那知はこんないい子だから安心してよ、姉貴」

賢太郎さんのその言葉に、お姉さんが「うふふ」と優しい笑顔を見せてくれた。

「初めまして、那知ちゃん。賢太郎の姉の、益浦(ますうら) かなめ です。賢太郎と霧子がお世話になってます」

「いえっ、私の方こそお二人には本当にお世話になりっぱなしです!」
かなめさんの優美な微笑みに、嬉しさと謙遜とでアワアワしてしまった。

「それで…姉貴は挨拶に来ただけか?」

「賢太郎、TOKIWAにも話すと言っただろう。これから良美さんとかなめから話してもらうから、よく聞いておきなさい」

「あっ、じゃあ賢太郎さん、私は席を外しますね」
お仕事のお話だしね。

スッと立ち上がると「待って、那知ちゃん」と、かなめさんから声がかかった。

エッ?と振り返ると、かなめさんに「まぁ座ってちょうだい」と言われたので素直に腰を下ろすと、すぐさま賢太郎さんの手が私の腰をガシリ!とホールドしてきた。
『逃さないぞ』って言われてるみたいで、嬉しくて笑顔が出ちゃいそう、ふふ。


「那知ちゃんがTOKIWAのデザイナーさんだからこそ一緒に聞いてほしいの」

かなめさんにそう言われて、でも…と賢太郎さんに視線を送ったのだけど、「…て事だから、那知も同席頼むな」と頭を撫でながら言われたため断ることもできず…
「ハイ…」とそのままいさせてもらった。
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