婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。
「お待たせして申し訳ありません、高田社長」
「いやいや、待ってませんよ。なぁ、陽鈴」
突然話を振られ、はいと慌てて返事をして男性を見る。彫りが深く顔の輪郭がシャープで目が大きくて爽やか顔立ち。鼻が高く、下唇が少し厚めで誰が見てもイケメンだと誰もが振り向くと思う。
背も百九十センチはありそうだ。
「西條さん、こっちが私の娘の陽鈴だよ……陽鈴、この人は西條透冴さんだ。旧華族家の出身で、西條フレグランスの社長さんだよ」
西條さんは私に微笑むと人当たりのよい表情を見せる。