婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。
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「ん〜美味しい」
西條さんがフレンチランチを予約してくださっていたため、すぐに料理がやってきた。
オードブルやスープにパスタが出てきて、和牛フィレのグリルは柔らかくホロホロ。デザートはティラミスで口に入れたらシュワっと溶けてしまった。
「陽鈴さんは、美味しそうに食べるよね」
「あっ、すみません。顔に出るって言われていたから気にしていたんですが……美味しすぎて」
「美味しそうに食べてくれた方が嬉しいよ。昔から変わっていないんだね」
「……? 昔?」
今、昔って言ったよね?どういうこと?
やっぱり会ったことあったのかな。
「あぁ。陽鈴さんは覚えてないみたいだけど、俺と君は会ったことあるんだよ」
「や、やっぱり」
「……もしかして覚えてた?」
「いいえ! でも、なんだか、見たことあるような気がしていて……会っていたからか」
「そうか。なんだかうれしいな、会ったのは、うちのパーティーだよ。高田社長は、私の祖父と仲が良かったから招待していたんだ。その時、陽鈴さんはまだ中学生だったから」
へぇ……そうなんだ。でも、中学生なのに覚えてないなんて不思議だ。