婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。
利害一致
「……行ってらっしゃい」
「行ってくるよ。早く帰る」
あれから急展開が起きてトントン拍子に私は、彼――透冴さんの奥さんになっていた。
***
『――結婚してください』
目の前のイケメンな人が花束を差し出して求婚されたあの日。
私は経緯はどうであれ婚約破棄された傷モノ令嬢に変わりはない。だからストレートに問いかけた。
「あの、西條さん……どういうことでしょうか? どうして、私みたいな傷モノと結婚なんて」
「……傷モノ?」
「はい。私は婚約破棄されました。婚姻ではないですが、傷がついたのは事実です」
「君には、傷なんてついていないよ。陽鈴ちゃんは、清らかなままだ」
そう言った彼は微笑んだ。
「それに、俺と結婚すれば復讐できるよ」
「……っ、復讐?」
「そう。陽鈴ちゃんは悪くないのにあんな風に噂されたんだ。あっちは財閥家でもない一般企業の社長令息。一方、俺は旧華族の血を引いているし社長だしね」
確かに、噂には怒っている。だってあちらからなのにこんなことになって……