婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。
『栞くんとは大違い』
『流石、櫻子様の血を受け継いでいるだけある』
『将来は安泰』
俺を上げ、父を下げる。その頃から父の俺を見る目が変わって行ったと思う。
父は昔から分家の従兄の方が優秀で、普通な父よりもそちらが褒められておりもし本家に生まれていたらそちらが後継ぎになっただろうと言われていたらしい。
それが子どもの頃からの父のコンプレックスだった。
それに、結婚相手は自分を認めてくれた好きだった人とは別れさせられて西條よりも格上で聡い侯爵令嬢の母。
比較対象が従兄から妻に代わり、プライドはズタズタにされ心を保つためには父は母をぞんざいに扱った。
しかも、息子と比べられるようになるとは思わなかったらしく母のように俺を息子と見なくなった。