婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。
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「……改めて、お義姉さん。初めまして、義兄さんがお世話になっています」
部屋のダイニングのような場所で、私たちは向かい合い座った。向かい側にいるのは、透冴さんの義弟さんらしい。
「え、こちらこそ……私の方がお世話になっていて」
ぺこぺこ頭を下げ合っていると透冴さんに「そこまでにして話をしようか」と言われてしまった。
「そうだよね、えっと……俺は西條彗哉です。義兄さんとは異母兄弟で、俺は後妻の子どもでお互い敵同士って感じでいつ何が起きてもいいように仲が悪い設定になってます。まぁ、本当は仲が良いです。なので、義兄さんが西條を出た後は俺も出よーと思ってます!」
「え?」
「陽鈴さん。俺は、両親を心底軽蔑しています。嫌いなんです。父は、理由がどうであれ義兄さんのお母上がいらっしゃるのに関わらず母と関係を持っていた。母も父が高貴な身分の奥さんと結婚していても関係を持っていた。それにより生まれたのが俺なんですが……母は、俺を由緒正しい名家の当主にしたいし西條フレグランス社長になって欲しいと本気で思っています。だから、これは俺にとってもいい機会。それに義兄さんについていけばやりたいことが出来る。あんな奴らの思い通りにはしない」
それから彗哉さんは、自分はブライダルドレスのデザイナーをやりたいことを教えてくれた。
確かに透冴さんが新しく作った会社はブライダル会社らしいし、それなら出来るかも……と思ったらしい。
それからパーティーの段取りや私の復讐内容を話し合って彼は出て行った。