婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。



「はは、それにね。霜田アパレルグループがここまでやってこれたのは高田家が力添えしていたんだから当然。高田社長は、娘を溺愛していたし婚姻前だったが君の代わりに取引先への対応をしていた彼女が抜ければ傾くに決まってるだろ?」

「……え、もしかしてあれは会社のお仕事だったんですか?」


 初めて知ったんだけど……何も言われずにやっていたから知らなかった。


「やっぱり知らされてなかったんだね、陽鈴ちゃん」

「はい……霜田の妻になるための挨拶みたいなことだとばかり思っていたので」

「陽鈴ちゃんが“挨拶”をしていた会社は、結構重要な会社の重役たちだったんだよ。堅苦しい方々だ、君を気に入っていたからすぐに契約を破棄したんだと思うよ」


 私がふと元婚約者を見ると、青い顔をして震えていた。自分の今までの行いを悔いているのだろうか。


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