婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。



「あ、新しい会社……?」

「はい。御当主、俺は社長業務をしながら大学時代からの友人達と会社を一年掛けて立ち上げましたから」

「一年も、前から!?」

「それと新しい社長を日翔(はると)にお願いしようと思っています」


 日翔さんは、透冴さんの従兄弟だ。本家ではないがしっかりと西條の血を受け継いでいる。
 彼は壁側にいて姿勢を正しく堂々と壇上に上がった。


「日翔は、ずっと俺の秘書でサポートをしてくれていたから引き継ぎもスムーズに出来た。それに幼い頃からの付き合いだし、良き社長になると思う」

「……っ……」

「御当主……いや、父さん。俺は、嫡男だが自ら西條を捨てる。そして、愛してる人を妻にした。妻は、俺が西條家を出ることを応援してくれたよ」

「なんだよ、それは……」



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