婚約破棄されたら、高貴な紳士に極上な愛を注がれました。
縁談
父に呼び出された私は書斎にやってきた。ここに来るのは婚約破棄を報告したとき以来だ。
もしかして、働きたいと言ったから就職先が決まったんだろうか。
「呼び出してすまなかったね、話があって」
「全然大丈夫だけど……何かあったんですか?」
「陽鈴に縁談が来ているんだよ」
えんだん……?えんだん?
「縁談!? 縁談ってあの縁談ですか? それに私にですか?」
「うん、合ってると思うよ。陽鈴にだよ」
「でも、私、婚約破棄された曰く付きなのに」
「曰く付きと言うけど、陽鈴にはあれから縁談が沢山来てるんだ。だけど、みんな郵送だったのにわざわざ届けてくださった人がいるんだ。だから会ってほしいと思ったんだよ」
わざわざ……?そんな人がいるのだろうか。