ドロ痛α様に狙われて

 「……消えたい……です……私」

 「アハハ。カヤは何をしてても可愛いんだから、気にしないの」

 「あっちゃんはいつもいつも、オメガびいきしすぎ」

 「人魚姫は相変わらず、うちのクラスでも大人気ね。女子みんな、歌夜みたいな美人オメガに生まれたかったってぼやいてるよ」

 「私のことを人魚姫って言わないで。何回も言ってるでしょ」


 私にはお姫様要素なんてどこにもない。

 長いゆるふわカールの髪が、目立つくらい赤っぽいだけ。

 みんなから人魚姫って言われるのが恥ずかしすぎて、高い位置でポニーテールをしているの。

 気にしてるの!


 「オメガ人魚姫は麗しいんだから、もっとテレ顔をみんなに見せてあげなって。歌夜を拝みたいのは後輩ちゃんたちだけじゃないって、まだわからない?」


 椅子に座る私の真ん前。

 机を挟みながら、あっちゃんは私の肩をフレンドリーにポンポンポン。

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