幼い頃、ゆびきりをした人は次期社長候補のあなたでした

後で聞くと秘書課に欠員が出るからと言うことだった。

電車で30分、自社ビルに入り秘書課の自分の席へ座る。

制服はなく、秘書課はスーツ着用、スカートでもパンツでもOKでワンピースやヒラヒラしたものでなければ襟なしジャケットでもOKでインナーがブラウスじゃなくてもジャケットを羽織れば許可されていた。

秘書課の奥に社長室がある。

午後から社長に呼ばれた。

「怜花ちゃん」
「はい」

社長は2人の時は昔から呼んでるように怜花ちゃんと呼ぶ。

「1ヶ月ほどスケジュール空けれるかなー」

怜花は机に戻ってスケジュール帳を取ってきた。

「えーと、いつから1ヶ月ですか?差し支え無ければ理由をお聞きしても?」

「この間の健康診断で癌が見つかって手術をしたいと思って」

「え、それはなんとかします!専務や部長に仕事を振り分けて…」

「病院の方の日がまだ決まらないんだ」

「病院は…明後日の午後ですね」

「あと…只信(ただのぶ)にもまだ秘密だよ」

「…父にもですか?」

「入院が決まったら僕から伝えるから」

「はい」と返事をするしかなかった。
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