幼い頃、ゆびきりをした人は次期社長候補のあなたでした
会社の自分の席に座って大好きな本を読みながら待っていた。
秘書課のドアがガチャっと開くと怜花は立ち上がり
「秘書の佐野怜花です、よろしくお願い致します」と頭を下げた。
頭を上げサイドの髪を耳にかけていると、目の前が真っ暗になっていた。
「怜ちゃん」
「え?」
怜花は優しく包まれていた。
「会いたかった…ずっと…」
ずっと?怜花は両手で体を離した。
「ちょっと、離れてください…セ、セクハラですよ」
「あ、ごめんなさい」
「ここは日本です」
恥ずかしくて顔が見れない…怜花はくるりと反対を向いてしまった。
廊下から話し声が聞こえてきた。
「親父と兄貴だ」
お兄さん?部屋に2人が入ってきた。
「怜花ちゃん、休みの日にすまないね」
ドアの方を向いた。
「いえ」
「長男の龍斗(りゅうと)と二男の雅臣(まさおみ)、3人で昔はよく遊んでいたんだよ」
「怜花、美人になったな」
「はぁ…」
「怜花は俺達の事を憶えてないのか?家族でよく遊んだじゃないか」
「ごめんなさい、でも龍くんて呼んでたのは思い出してきたような…」