秘めごとは突然に。
『君のことが大切なんだ』私の頬に添えられた手のひらから、そう伝えてくるような宮腰くんの手に……私は自然と手を添えていた──。


「ごめんね。迷惑だとは思うけど俺、篠宮さんのことがっ……」

「ぅうう……っ、うっ……うぅ……」


苦しそうに唸っている声が聞こえた。


「い、生きてる!?」
 

倒れているヤクザがまだ生きていた。


「ハハッ。殺してはないよ……まだね」

「……え」


まだって……どういうこと?まあ、この際なんでもいいや。とりあえず救急車を──。いや、この状況で救急車を呼んだとして……宮腰くんはどうなる?


「篠宮さん、どうしようか」


宮腰くんは穏やかな声でそう言いながらヘッドホンを首まで下げた。

両耳には数ヶ所ピアスが付いている。まさかあの宮腰くんがこんなにもピアスを付けていたとは……想像もつかなかったな。

そして、黒マスクも取って長い前髪をかき上げた宮腰くん──。

爽やかな笑みを浮かべて温厚そうに見えるけど、どこか『冷徹さ』が漂う容貌で、一つ言えるのは 『宮腰くんはとんでもなくイケメン』だった──。


「で、どうする?」

「……な、なにを?」

「あの人」


ニコッと微笑んで倒れているヤクザを指差す宮腰くん。……これは、どう答えるのが正解なのかが分からない。何をどうやって伝えればいいの?


「困らせてごめんね?……でもさ、俺の大切な篠宮さんに手を出そうとしたんだ。このくらい当然の報いだよ」

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