秘めごとは突然に。
何でかは分からないけど、宮腰くんとのキスは不思議と嫌じゃない。文哉とのキスは苦痛で、触れ合うキスすらしなくなってたな──。


「へえ……俺とキスしてるのに、他の男のこと考えてるとか随分と余裕そうだね。篠宮さん」

「いや、そんなことっ……」

「気に入らないな」

「え、ちょっ……んんっ!?」


宮腰くんの舌が唇の隙間から──。

・・・・あれからどれくらいの時間が経ったのかな。未だに甘くて深い口づけを交わしている私達……というか、宮腰くんが全然逃がしてくれない。


「……っ、はぁ……篠宮さん甘すぎて酔いそう」

「んん……っ、みや……こしくんっ……」

「……っ、ごめん。全然足りない……もっと、もっと篠宮さんが欲しい」


私達が唇を重ねて絡み合っている音と吐息だけが、薄暗い路地裏に響く──。


結局、私が立っていられなくなるまで宮腰くんに絆されていた。


「ククッ、可愛いね。気持ち良かった?」


腰が抜けたみたいに力が入らなくなった私を満足気に抱き寄せて、ニコニコしながら私を見下ろしている。


「……そ、そんなの……知らない……」

「はあ、可愛いなぁ……もう」



──── 初の大人なキスは宮腰くんにこれでもかってくらい奪われた。


宮腰くんのキス……すごく丁寧で優しかったし、丁重に扱ってくれてるっていうか、とても大切にされてるって感じがして、めちゃくちゃドキドキした。

心も体も宮腰くんで満たされちゃったな──。本当、どうかしてる。


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