秘めごとは突然に。
──── いや、マジでなに言ってんの?コイツ。ヤバくない?散々、浮気しといて自分の不貞行為を私のせいにするつもり?ふざけるのも大概にしといてほしいわ。本っっ当にありえない、マジでない。


「は?」

「お前がヤらせてくんねえからじゃん」


──── それ、本気で言ってる……?


浮気を繰り返されたこの2年間の感情が荒波のように押し寄せてきて、私はガンッ!!と勢いよく椅子から立ち上がった。そして、水が入ったコップを手に取り、なんの躊躇いもなく文哉にバシャンッ!!とかけた。


「なっ!?」

「他の女抱いた男とヤるわけないでしょ、アホなの?頭の中お花畑すぎて引くわ」

「そ、それはっ……」

「よかったあー、しょーもない男に抱かれてなくて。これが私の中で唯一の救い」


心底軽蔑した眼差し、汚物を見るような目で見下す私に戦意喪失したのか、うつ向いて何も言わなくなった文哉。

きっと文哉は私のことが『好き』……というより、私の『見た目』と『居心地の良さ』が好きだったんだと思う。そりゃ幼馴染みだからね、居心地は良かったでしょ。自分でも言うのもなんだけど見た目もそれなりに良いしね、私。

困った時の居場所が無くなるのも、自分のステータスが無くなるのも嫌で私を手放したくなかっただけでしょ?そんなの知らない。改心しなかった自分を恨めば?

私は、私だけを好きでいてくれて、愛してくれる人じゃないのなら……もういらないの。

< 4 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop