秘めごとは突然に。


──── 文哉と別れてから数週間。特に代わり映えのしない生活を送っていた……といえ、周りからは『え!?ようやく別れたの~?いやぁ、本当に良かったね~。あんな男に美波ちゃんは勿体ないってマジでみんな思ってたから~』なんて言って、『破局』をお祝いされる日々がちょっとつづいてた。

高校は違えど文哉がうちの高校まで来たりしてて、何だかんだ周りは文哉の存在を把握してたし、そんな状況下で普通にうちの高校の子と関係を持ったりしてたから、学校では色んな意味で有名だった私達カップル。

何度も『別れなよ』『俺にしとけば?』とか告白されたっけな。でも、文哉と同じ土俵に立ちたくなかった私は、一度だって浮気なんてしたことなかった。

健気すぎない……?いや、そういうことでもないか。きっとどうかしてたんだと思う。本当にアホくさい……憂鬱になるわ。


「クレープでも食べて帰ろうかな」


賑わしい街中、学校帰りにクレープ……しかも一人で。ま、まあ、悪くはないでしょ?別に。こうなったら全トッピングしちゃおうかな~。


「オイ。そこの姉ちゃん」


後ろから肩を掴まれて声をかけられた。チラッと振り向くと明らかに柄の悪い男がいる。

・・・・こんなの、嫌な予感がしてならないんだけど。私なにかやらかしたっけ?こんな柄の悪い男を怒らせるようなことした覚えもなければ、関わった覚えもないんですけどね──。

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