家隣の陰キャ君を落としたい!
「未琴」


・・・・いや、誰だオマエ。


「この前はごめん」


・・・・うん。誰だオマエは。


「あの、誰ですか」

「……え?」

「……はい?」

「いや、僕だよ僕」

「ボクボク詐欺ですか?」

「はぁぁ……分かるでしょ普通。絢斗だよ」


──── ん?ん??んん?んんん!?


「ええぇぇぇぇーーーー!?」

「未琴うるさい」

「あ、ごめん」


私は慌てて自分の口を手で塞いだ。

いやいやいや、待って待って待って待って。えっとぉ……私が最後に絢斗の全容を見たのは、いつの頃だったかしら。多分、小学校の低学年頃が最後かな?その時は可愛らしい顔をしてたのよ。本当に羨ましいくらい可愛らしい顔をしていたのよ。

なのに、何故か目を隠すようになって、年々陰キャを極めることになった絢斗。まぁ私は、絢斗が可愛かろうが陰キャだろうが関係なかったけど。

だって、絢斗自身のことが好きだったから。


──── で、私の目の前にいるのは、昔の面影なんて一切合切ない、超絶イケメンの“西宮絢斗”。


「今日、一緒に帰りたいんだけど……いいかな」

「え?あ、う……うん」

「ありがとう」

「あ、どうも……こちらこそありがとう……?」


それから騒ぎが落ち着く……なんてことはなかった。


──── 下校時間。


絢斗は女子に囲まれて、揉みクシャにされている。それを救ったのは私の親友達だった。

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