家隣の陰キャ君を落としたい!
「こらこら~、これを誰のもんだと思ってんの~?」

「さっさと散りな~」

「このイケメンは未琴のだぞ~」 


絢斗を囲っている女子達を蹴散らす勢いの詩織、美里、楓。マジで本当にありがとう。


「未琴、ごめん。行こ」

「うん。詩織!美里!楓!ありがとうっ!!」

「「「グッドラック」」」


──── 久しぶりに絢斗が私の隣にいる。


それが当たり前だったのに、あの日から当たり前じゃなくなった。空回りして、自分で自分の大切な居場所を捨てた。

もう、絢斗の隣は歩けないって……ヤケクソになって、絢斗のことを忘れたくて、ぽっかり空いたその穴を埋めたくって……でも、そんなの無理で、絢斗で空いた穴は絢斗でしか埋めれなくて──。

私、やっぱり絢斗じゃなきゃ嫌。絢斗がいいの。絢斗じゃないと意味ないの。私の隣にいて欲しいのは……絢斗だけ。


「絢斗、私っ……」

「未琴、ごめんね。あの時、泣かせるつもりはなかったんだ。僕さ……自分に自信が無かった」

「……自信?」


チラッと絢斗を見上げると、真っ直ぐ前を向いていた。


「未琴に『可愛いね』って言われてから、この顔が嫌いになった」

「そっか…………って、え……?」


私は絢斗を二度見して、ポッカーンッと口を開けている。開いた口が塞がらないとはまさにコレ。

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