家隣の陰キャ君を落としたい!
「ああ、ごめん。遠回しな言い方はもうやめるね…………好き」

「…………ハイ?」


真っ直ぐ私の目を見て『すき』と言った絢斗。すき……すき……すき……?すき……やき……すき焼食べたいって?いや、スキーでもしに行くかって?


「未琴のことが好き。昔からずっと……物心ついた時から、未琴のことが好きで好きでたまらなかった」


私の頬を両手でそっと優しく包み込む絢斗。その手が少しだけ震えていた。


「絢斗」

「ごめん……緊張して。かっこ悪いね」


かっこ悪くなんてない。私の中ではいつだって絢斗が一番かっこよかった。昔も、今も、そしてこれからも、それは絶対に揺るがない。


「絢斗がこの世界の中で一番かっこいいよ」

「未琴。それは眼科に行った方がいいかもしれない」

「もうっ!なんで今そういうこと言うの!?」

「ククッ……ごめんごめん」

「だいたいっ……!?」


おもむろに絢斗の顔が近付いてきて、チュッと唇が重なった。そして、少し離れる絢斗の唇。


「怒った未琴ってめちゃくちゃ可愛いって知ってた?」

「……へ?」


色っぽいというか、飢えた獣のようにギラギラした瞳で、私の瞳の奥底を捉えて離さない。


「ねえ、未琴」

「は、はい……」

「すべて喰らい尽くしたくなるくらい君が愛おしいんだ」

「……ん?」

「もう……我慢なんてしない」

「……え?」

「ごめん。もう逃がさないから」

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