追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
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それから、私は治療院で忙しい日々を過ごした。
お母様の本のおかげで、なんとかジョーは一命を取り留めた。だが、完全に回復するまでにはまだ時間がかかりそうだ。
そんなジョーの隣では、同じように傷付いたお兄様の治療も行われる。
治療といっても、山は乗り越えた二人だ。私特製の不味い薬や痛み止め、感染対策中心の治療となる。
「うっわー!!この薬をまた飲まないといけないなんて……」
お兄様は露骨に顔を歪めている。それを見て、隣に寝ているジョーが面白そうに告げた。
「よし。ヘンリーと俺、どちらが先に飲み切れるか勝負だ」
「うわっ!ジョーはこんなの飲めるの!?」
「飲める。アンが作ったものならなんでも」
治療をしていくなかで、お兄様とジョーは友達になってしまった。そして、お兄様は私といる時よりも、ジョーといるほうが楽しそうだ。これには、ジョーに嫉妬してしまうほどだ。
私の前で、苦い薬を我先にと一気飲みする二人。お兄様は案の定へたれたことを言い始め、飲めると言ったジョーですら、変な顔をしている。その顔を見て、あまりの苦さに涙を流しながら、お兄様が笑った。
「ほら!ジョーだって不味いって思ってる!!」
そんな二人を、私は腕を組んで睨みながら告げた。
「文句ばかり言わず、ちゃんと治療を受けてください。
薬を飲まずに膿だらけになって死んでしまっても、知りませんからね!」
私の言葉を聞き、お兄様は青ざめて残っている薬を一気に注ぎ込んだ。そんなお兄様を見て、ジョーは楽しそうに笑っている。こんなジョーの笑顔を見れて、幸せだと思った。こうして、またジョーといることが信じられないほどだ。