追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
彼にドキドキしっ放しです


 数日後。
 すっかり元気になったヘンリーお兄様は、同じように回復したポーレット領騎士の皆と、ポーレット領に帰ることになった。

 出発前、お兄様と最後の抱擁をする。お兄様は優しくて温かいが、ジョーがいいと改めて思った。

「アン。元気でね。何かあったらすぐに知らせてね」

 お兄様は笑顔で、だけど心配そうに私に言う。そんなお兄様に、大きく頷いていた。

 そして、お兄様は私の隣にいるジョーに向き直る。

「ジョー。僕の妹を、よろしくお願いします。
 また、結婚式の日にちとかが決まったら教えてね」

「もちろんだ、ヘンリー。
 その前に、アンとポーレット侯爵領にも正式に報告に伺うつもりだ。
 オストワルは、ポーレットとともにある」

 お兄様とジョーは、固く手を握った。お兄様もジョーも、これからも仲良く元気でいて欲しい。

「ヘンリー、時間だよー!」

 セドリック様が笑顔で告げ、お兄様の肩をぽんぽんと叩く。

「ありがとう、セドリック。
 アンの様子を見に、また来るよ」

 お兄様の過保護にはほどがある。だが、いつでも会いに来て欲しい。私だけでなく、ジョーやセドリック様だってお兄様を歓迎しているから。


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