追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる



 ジョーが出て行った扉を見ながらもドキドキしている私は、まだジョーの余韻に浸っている。こんな私に、ジョーとともに入ってきた騎士が告げる。

「今日は第一騎士団の訓練の日です。
 もしよろしければ、アン様も第一騎士団の訓練を見学されますか?
 ジョセフ団長の訓練を見れば、惚れ直されること間違いないでしょう」

 惚れ直すも何も、ジョーが戦っているところは何度も見たことがある。そして、問答無用で強かった。これ以上ジョーに惚れられないほど惚れているのも事実だが、かっこいいジョーをもっと見たいと思ってしまう。

「ありがとうございます」

 私は騎士に告げる。そして、

「ですが、ジョセフ様はまだ怪我が完治されていません。訓練をされても、大丈夫でしょうか」

気になっていたことを聞いた。
 そう、ジョーの傷はもちろん治っていないし、今も一日に一回消毒とガーゼ交換をしている。あの傷に剣が当たったら、また出血してしまうに違いない。
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