追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
彼の治療も一苦労です

 ジョーが団長邸に帰ってきたのは、夕陽が空を紅く染める頃だった。酷く顔を紅くして、口元をきゅっと結んで帰ってきた。
 ジョーを見ると、昼の華麗な剣捌きを思い出してきゅんとする。それと同時に、ジョーは怒っているのかなと不安になった。
 それでも元気を装って、

「おかえりなさい」

ジョーに駆け寄る。ジョーは紅い顔のまま、ぎゅっと私を抱きしめた。

 その硬い腕に抱かれ、服越しにその体温が伝わり、体が沸騰しそうになる。

「じょ、ジョー!いきなり何!?」

 ジョーの体を押し退けようとするが、騎士団長の力はすごい。どれだけ足掻いても、びくともしないのだ。

「ただいま、アン」

 耳元で甘ったるい声で囁かれ、かあっと熱が上がる。

「アン、会いたかった」

 いきなりそんな甘々モードで迫られても、心の準備が出来ていない。それに……

「じ、ジョー……!」

思わず悲鳴のような声を上げた。
 だって、ジョーは私を抱きしめたまま、頬とか耳元にちゅっちゅっとキスをするからだ。

「や、やめて、ジョー!!
 恥ずかしいし……なんだか胸がドキドキしておかしい……」

 必死に抵抗するが、

「煽ってるのか?」

ジョーはさらに甘い声で告げ、唇を重ねようとした……
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