追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
 笑っている私を、ジョーは不意に抱きしめた。そしてそのまま、唇を重ねる。不意打ちを喰らって、私は真っ赤になって固まってしまった。こんな私を、ジョーはアイスクリームでも舐めるように、甘く優しく堪能する。ジョーに抱きしめられて何度もキスをされて、幸せだと思った。ジョーがこんなにも私に愛を注いでくれるのだから、卑屈になるのはもう辞めにしたい。

 ジョーは唇を離し、熱い瞳で私を見て、甘い声で囁く。

「アン、愛してる」

 その言葉がさらに、私の胸を熱くする。

「俺が強くなくてもヘタレても、そうやって甘やかしてくれるアンを、誰よりも愛している」

 再び唇を塞がれた。頭がぼーっとして顔が熱くなる私は、完全にジョーに絆されている。


< 153 / 180 >

この作品をシェア

pagetop