追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる



 扉が開かれると一斉に拍手が湧き起こる。きっと、美しすぎるジョーを見てだろう、ため息すら漏れた。その中を、ジョーと手を組んで歩いた。

「アン様、おめでとうございます!!」

 私はポーレット侯爵領にいなかったのに、みんなが祝福してくれる。

「アン様は、ポーレット侯爵領の平和に関する希望の星です!」

「それって、私がジョーと結婚するからだよね」

 笑いながら小声でジョーに告げると、

「そうかもな」

ジョーも笑いながら答える。

「でも、アンはこの地ですごく歓迎されているようだ」

 その事実がとても嬉しかった。私はヘンリーお兄様のお荷物でしかないのに、お兄様含めみんながこんなにも喜んでくれるなんて。
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