追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
こうやって、私は甘々のジョーの訓練を受け、意外にも強くなってしまったようだ。もちろん、ジョーの足下にも及ばないが。
色々と危険な目に遭った私は意外と平気だったが、ジョーはそうでもないらしい。
「アン、心配した」
その声は少し震えている。そして、濡れてしまった私ごとぎゅっと抱きしめる。
ジョーは国内で最強の騎士だが、その心は意外と脆いことも知っている。そんな人間味溢れるジョーが大好きだし、安心させてあげたい。
ジョーの腕の中でその大きな胸と体温を感じ、頬が緩んでしまう私。ジョーにこんなにも大切にされて、すごくすごく幸せだ。
「アン、見事な背負い投げだった」
甘くて切ない声で告げるジョーに、
「ジョーのおかげだよ」
笑顔で告げる。
「ポーレット侯爵の妹が男を投げ飛ばしたなんて話を聞くと、人々は大男ジョセフ様とお似合いだって思うよね」
「……そうだな」
ジョーふっと笑い、優しく唇を重ねる。その愛を感じながら、私は幸せを噛み締めていた。