追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
私はとても幸せです
 それからしばらくして……私たちは、念願の結婚式を挙げた。

 ヘンリーお兄様をはじめ、王宮からは師匠と先輩薬師たちも参列してくださった。オストワル辺境伯やセドリック様、ソフィアさんまで……
 大好きな人たちに囲まれ、こうやってジョーと新たな一歩を踏み出せるのがとても嬉しかった。

 式を挙げた大聖堂の前にはオストワル辺境伯領の人々が集まっていた。そして、式を終えて扉が開かれた瞬間、大歓声に包まれる。人々はジョーと私の名を叫び、涙を流して喜んでくれた。
 私はこうも素敵な人たちに囲まれて、世界一の幸せ者だ。

 人々の視線が集まるなか、ジョーはぎゅっと私を抱きしめ頬を擦り寄せる。

「ジョー!みんな見ているのに!」

 真っ赤になって慌てる私に、ジョーはいつものようにさらっと告げる。

「アンは俺のものだって、見せつけてやる」

 もう……その独占欲には驚くが、ジョーにこんなにも愛されてとても幸せだ。ジョーが私を恥ずかしげもなく愛してくれるから、私もジョーにたくさん愛を返したい。

 ジョーの頬にちゅっとキスすると、ジョーは動揺して頬を染める。その狼狽える姿さえ愛しくかっこいい。普段はあんなにぐいぐい来るのに、私が反撃すると照れてしまうのだから!

 ジョーと見つめ合ってふふっと笑った。白いタキシードにブロンドヘアを靡かせるジョーは、この世の者とは思えないほど美しいが……そんなジョーが全身で愛してくれるのだ、私も胸を張って生きなきゃいけない。
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