追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる



 式を終え、何時間にも及ぶ壮大な宴を終え……ようやく騎士団長邸に戻る私たち。
 近くにあるオストワル辺境伯邸からはまだ人々が騒ぎ楽しむ声が漏れている。きっと今日は、夜通し宴が行われるのだろう。その宴にずっと残ることも出来たのだが……

「アン……」

 ジョーは私の手をそっと握り、身を寄せながら階段を上がる。そんな甘い声で呼ばれると、まだ階段にいるというのに胸が熱く熱を持つ。

「やっとアンが俺のものになる。すごく嬉しい」

 そのストレートな言葉に、恥ずかしくも嬉しくなる。

「何言ってるの。私はずっとジョーのものだよ」

 そう答えるのが精一杯で、胸がドキドキとうるさい。こんな私に軽くキスをして、ジョーは寝室の扉を開けた。

「俺の全ても、アンのものだ」

 ジョーは甘く囁き、再び唇を重ねた。

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