追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
「引かないよ」
私は告げた。
「でも……ちょっと遠いところに行ってしまう気がするな……」
住民から崇められ、国中から羨望の眼差しで見られるオストワル辺境伯領騎士団。私なんかが近付いてもいい存在だとは、到底思えない。
「そうか……」
ジョーは少し考えるように呟き、
「明日、治療院に様子を見に行くよ」
私の頭をそっと撫でる。そして再び、甘い声で告げた。
「おやすみ、アン」
その声を聞くだけで、その手で触れられるだけで、どんどん彼から離れられなくなっていく。すごくドキドキする。ジョーに会ってから、私はおかしい。