追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

 

「申し訳ありませんでした」

 私は患者たちに深々と頭を下げた。

「皆さんの気持ちも分からずに、酷いことを言ってごめんなさい」

 だけど、譲ってはいけないこともある。

「私は、とある医学が進んだ街からやって来ました。
 私は、出来る限り皆さんを良くしたいのです。皆さんが元気を取り戻したいのです!」

 頭を垂れたまま、震える声でそう告げた。
 自分の行いを反省した。これからは、一方的な態度は改めようと思う。だけど、私だって何かの役には立てるはず!!


 しーんと静まり返る室内で、ソフィアさんの柔らかな声が響いた。

「正直、私一人で皆さんを観ることは不可能です。
 こうやってアンちゃんが来てくれたのだから……皆さん、アンちゃんを信じてください」

 顔を上げると、少し泣きそうでホッとした顔のソフィアさんと目が合った。ソフィアさんも、きっと一人で心細かったのだろう。こんな広大な街の患者が、一斉に押し寄せて来て。
 そして何よりも、見ず知らずの私を信じてくれて嬉しい。
 私、ソフィアさんの評判を守るためにも、必死で頑張るから!


「仕方ないな。……わしは老人で、この先も長くないから」

 杖をついた男性が、私のもとへと歩み寄る。

「私も、熱が高くてもう生きられないから……」

 苦しそうな年配の女性だってやってくる。そして、

「ソフィア様に迷惑はかけられないわ」

 比較的元気な若い人まで。
 そんな彼らに向かって、ありがとうございますとまた頭を下げていた。

「ありがとうございます!きっと、良くしますから!
 だから生きられないだなんて、言わないでください!!」

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