追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
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五日ほど経った頃、私は……意外にも元気だった。
王宮に使える箱入り薬師だと思っていたが、私には予想以上の知識があった。食べられる物、食べられない物、そして、元気を与える食べ物……それらを正しく食べ、予想以上にピンピンしている。
さらに言うなら、健康的なものばかり食べ、王宮を出た時よりも状態がいいかもしれない。
おまけに意外にも知恵と度胸がある私は、荷馬車に隠れ込んだりして、結構遠く離れたところまで来ているのだった。
知らない場所、地図さえもない。だが、こうやって元気に過ごしていれば、いつかなんとかなるだろう。王宮を出て以来やたら前向きな私は、実は冒険者が天職なのかもしれない。
今日も荷馬車に揺られ、荷物の隙間から外を見ていると……なんと、珍しい薬草を見つけた。王宮の近くでは手に入らず、行商人に高値で買い取っていたものだ。
それに気付くなり、私は荷馬車から飛び降りていた。そして、その薬草を袋に詰め込む。
周りを見れば、さらにたくさんの種類の薬草が生えているではないか。薬草だけではなく、数々のキノコまで!
これをたくさん採って売ればかなりの金額になるし、私もさらに生き延びることが出来る。人生イージーモードではないか!
私は必死に薬草やらキノコやらを収穫した。そして、流れている小川で綺麗な水を補充するのも忘れなかった。
気付くと陽が傾き、森はまもなく日暮れを迎える。緑色の葉が夕陽で紅く染まっていた。
そろそろ、今夜泊まるところを見つけないといけない。今までは馬車の中やら使われていない家屋やらで夜を明かしたが、今は森の中だ。これは野営しかないだろう。
だけど、王宮で過ごした私にとって野営は斬新で憧れすらあった。むしろ、今は人生イージーモードのため……野営を舐めきっていた。
森を探索した私は、運良く洞穴を発見した。そしてそこで夜を明かすことにする。枝と落ち葉を拾い、焚き火を作る。そして、採った薬草とキノコで活力の出るスープを作ろうと、鍋に水と食材を入れて火にかけた。
せっかくなので何か他にも食べられるものがないだろうかと辺りを探索するために外に出た時……何かぶにゅっとしたものを踏んで、突如尻もちをついた。動物の糞だろうか、それとも死体だろうか。
運動不足の私は、尻もちごときで大ダメージを負い、痛む腰をさすりながら踏んだものを見た。そして、踏んだものを見て唖然とした。