追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

 それは、王宮薬師だったから……なんてことは、言えるはずもない。万が一ここでその話をして、どこからともなく私が国王を殺害しようとしたなんて噂が浮かび上がったら……この街にも居られなくなるかもしれない。
 この街に居られない?……ジョーと会えない?そう思うと胸がきゅうっと絞られ、酷く悲しくなるのだった。

「私は……とある濡れ衣を着せられて、元いた街にいられなくなりました。
 だから新しく生活する場所を探すため旅に出たのですが……旅の途中、倒れているジョセフ様を見つけたのです」

 苦し紛れにソフィアさんに告げた。こんな私の話を、ソフィアさんはうんうんと聞いてくれる。

「ジョセフ様は助けた恩返しにと、私をこの街に連れてきてくださいました。
 だから私は、ジョセフ様とはそんな仲でもないし、ジョセフ様だって私をからかっていらっしゃる
んでしょう」

 こう告げながらも、我ながら悲しくなった。私は浮かれていたが、ジョーは私が恩人だから優しいのだろう。私は愚かにも舞い上がりすぎだった。

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