追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
こうして、ソフィアさんとは後味の悪い別れかたをして、私はジョーと治療院を出た。
標高が高いだけあって、この街の夜は冷え込むらしい。思わずぶるっと震えた私に、ジョーは上着を脱いでぱさっとかけてくれる。ジョーの香りがふんわり漂って、かぁーっと体が熱くなる。
そのままジョーは、そっと私の肩を抱いて身を寄せ歩き始めた。
夜道は危ないとジョーは言うが、至るところに街灯があり、騎士たちがいるから大丈夫だろう。その騎士たちと同じ隊服を着ているジョーを見て、騎士たちは背筋をピシッと伸ばし敬礼する。この様子からも、ジョーがいかにすごい人なのかを思い知らされた。
「アン。君がいると、俺の毎日がこうも違う」
「そう。それはジョーが、仕事をサボって抜け出すようになったからじゃない?」
ジョーに呑まれないように必死で抵抗する私だが、
「そうかもな」
ジョーは低く甘い声でそっと告げた。