追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
「俺は騎士団に全てを捧げてきた。でも、今は違う。騎士団以外にも、大切なものを見つけた」
甘くて綺麗な瞳から、目が離せなくなる。私がジョーに釣り合う女だったら良かったのにと、心から思う。
「アン。俺は仕事を抜け出しても、君に会いたい。アンの顔を見ると、なんでも頑張れる気分になる。
アンの存在が、俺の薬なんだ」
もうやめて、そんな甘いことを言わないで。ジョーはいつからこんなにも、私に依存するようになったのだろう。そして私も、どんどんジョーから離れられなくなっている。惚れ薬を飲んだように、頭の中はジョーでいっぱいだ。
「アンが分かってくれるまで……分かってくれても、俺はアンのそばを離れない」
ジョーは私の家の前で立ち止まり、名残惜しそうに手に口付けをする。それだけで、私はまたぼっと赤くなる。
「おやすみ、アン」
甘い甘いその声を聞くのが嬉しいと思ってしまう。
「本当は、君と一緒に眠りたいよ」
そんなことをしたら、私は発火して燃えてしまうかもしれない。それくらい、ジョーに焦がされているのだ。