追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
こんな甘い態度で接せらると、私もますますはまってしまうから、必死で抵抗する私。
「あっ!私、お皿とフォークを取ってきます!」
ぱたぱたと二階へ食器を取りに上がる私は、真っ赤で少し震えている。叶わぬ恋なのに、思わせぶりな態度はやめて欲しい。私は、どんどんジョーにはまっていくから。
私が二階に上がっている間、ジョーとソフィアさんは話をしていた。ソフィアさんによると、以前のジョーはこんなにも親しげに話をしなかったらしいのだが。
「相変わらず、お好きですね」
「あぁ。何としてもアンは手に入れたいから」
「でも……とても言い辛いのですが……アンちゃんは、ジョセフ様が冗談を言っていらっしゃると勘違いしています」
「それなら、もっとアンに迫らないといけないようだな」
こんな話の内容を、私が知るはずもなかった。こうやって、ジョーの求愛はどんどんエスカレートしていくのだった。