追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
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治療院の扉の横には、騎士が立つようになった。
その騎士から聞いたのだが、私のことをよそ者に話すことは禁じられているらしい。どうやら、ジョーが私を守ろうとしてくれているようだ。それが嬉しいし、ホッとした。
箝口令が敷かれているが、治療院には相変わらず患者たちが押し寄せてくる。疫病の流行が止まり、患者の半分は無駄話に来ているだけのようだが。だが、こうやって人に囲まれて楽しく生活していると、このままこの街で生きていけそうな気がした。
患者が途切れ暇になった時に、
「いつもありがとうございます」
見守りの騎士に礼を言った。
「せっかくなので、二階でお食事でもどうですか?」
それでも騎士は、困った顔をする。
「気持ちは嬉しいが、私は持ち場を離れられないので……
もし貴女になにかあったら、団長に酷く叱られてしまう」
そんな騎士に申し訳なく思い、元気が出る薬草入りのパンやクッキーを差し入れた。騎士たちは仕事だからと拒否するが、私なんかに時間を割いてもらっているからと必死で押し付けた。
騎士たちも次第に心を開いてくれるようになり、ジョーの話をはじめ、色々な話をした。
騎士たちと話すと、ジョーがいかに強くて尊敬されているのかがよく分かった。