追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

「馬鹿男とはなんだ」

 急に声がして、この強くてキラキラした騎士は、ひいいいっと飛び上がる。そして、慌てて口を押さえた。
 その声を聞くと胸が温かくなる。頬も緩んできてしまう。私は彼にそんなに狂わされているのに……

「だ、団長!!」

 騎士は青ざめた顔で必死に言い訳を考えている。そこまで団長の存在は怖いのだろう。
 だが、ジョーは意外にも怒ってはいなかった。

「お前、いいこと言うな」

 騎士の肩をぽんと叩く。

「今度、アンに騎士団を見学してもらい、俺に惚れ直してもらおう」

「な……なんでそうなるの!?」

 思わずジョーに言ってしまう。ジョーも必死にアピールしてくるが、もう遅いと思う。私はすでに、後に退けないほどジョーにのめり込んでいる。……ジョーが好きなのだ。


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